本記事は、関西エリア(大阪府・兵庫県・京都府等)で外国人技能実習生を受け入れており、実習期間満了に伴い特定技能1号へ移行させて継続雇用したいと考えている企業の経営者や人事担当者のための比較ガイドです。3年間の技能実習を終えた人材は現場業務や日本語に習熟した貴重な戦力ですが、特定技能へ切り替えるためには制度の異なる手続きと新たな支援体制の構築が求められます。

技能実習と特定技能では根拠法令や管轄組織が異なり、技能実習の「監理団体」は特定技能の「登録支援機関」とは法的に別組織として扱われます。自社で雇用している実習生を特定技能へ切り替える際、現在の監理団体が登録支援機関の認可を持っていなければ、別の登録支援機関へ支援計画の実施を委託するか自社支援体制を整えなければ在留資格変更申請を進めることができません。

筆者が外部の第三者として関西エリアで技能実習からの移行支援や登録支援業務を公表している7事業者の公式情報を調査し、中立的な立場から整理しました。移行手続きの代行体制、月額支援費、取扱業種、定着支援の内容を横断的に比較しています。自社の実習生を円滑に特定技能へ移行させるための判断材料としてお役立てください。

技能実習から特定技能への移行を支える登録支援機関の全体像

掲載各社の共通点と違い

本記事に掲載している7機関は、いずれも関西エリア(大阪・兵庫等)に拠点を構え、出入国在留管理庁長官の登録を受けた登録支援機関です。技能実習2号または3号を良好に修了した外国人材を対象に、特定技能1号への在留資格変更手続きや受入れ後の法定支援業務に対応できる体制を公表している点で共通しています。

一方で、各機関の組織形態や支援の特徴には明確な違いが存在します。技能実習の監理団体と特定技能の登録支援機関の双方を運営し、実習期間中から特定技能への切り替えまで窓口を変えずに一貫支援できる「事業協同組合」、介護や製造といった専門分野に特化して国家資格取得や現場教育を手厚く伴走する「業界特化型機関」、自社実習生の継続雇用に特化して月額支援委託費を抑えたプランを提供する「低コスト型機関」に大別されます。

監理団体と支援機関を一本化して手続きの重複をなくしたい企業は組織形態の列を、移行後の長期勤続やキャリアアップを重視する企業は定着・キャリア支援の列を比較表で確認してください。

掲載各社の比較表

掲載順は評価順ではありません。

事業者 拠点所在地(関西エリア) 料金目安(紹介料・月額支援費) 技能実習から特定技能への移行支援体制 主な対応産業分野 定着・キャリア支援の特徴
ケアコンパス(一般社団法人外国人介護留学生支援機構) 大阪市淀川区西中島 紹介料:一律40万円
月額支援委託費:30,000円
特定技能・在留資格介護への移行手続き支援 介護分野に特化 N4からN3・N2への学習支援、生活同行、留学生移行支援
大阪人材開発事業協同組合 大阪市西区靱本町 紹介料:無料(無料職業紹介事業)
支援委託費:組合規程による
監理団体と登録支援機関を兼営、切替支援を一貫対応 介護、製造、建設など 自前講習センターでの実践講習、多言語生活サポート
協同組合一心 大阪府泉南郡岬町 監理費・支援委託費は規程による(要問い合わせ) 優良監理団体かつ登録支援機関、2号修了者の移行対応 介護、製造全般 独自アプリ学習、母国語面談、介護福祉士22名合格実績
協同組合関西経営開発センター 大阪市阿倍野区文の里 監理費・支援委託費は組合規程による(要問い合わせ) 1993年設立の優良監理団体・登録支援機関、切替プラン提示 建設、製造、飲食料品製造等 自社実習生の切替、他社満了者の紹介、帰国者の再招聘対応
花みずき協同組合 兵庫県尼崎市東難波町 監理費・支援費は組合規程による(要問い合わせ) 優良監理団体および登録支援機関(19登-002742) 製造、建設、介護、外食など ベトナム語・ミャンマー語・クメール語の専任スタッフ在籍
協同組合コロジ 兵庫県姫路市大津区 個別見積もり(要問い合わせ) 一般監理団体かつ登録支援機関、実習から特定技能への移行 建設全般、製造全般、介護等 インドネシア・ミャンマー人材対応、育成就労準備対応
株式会社スタッフ満足 大阪市西区西本町 自社実習生切替:支援費1.6万円/人
(新規紹介は30万円/人)
特定技能への在留手続サポート・支援受託 介護、医療分野中心 1年以内の離職時に無償で追加人材を紹介する退職補償、eラーニング

自社で実習中の実習生をそのまま特定技能へ切り替える場合、人材紹介手数料は発生せず、変更申請手続き費用および月額の支援委託費のみで契約できるケースが一般的です。

関西で技能実習から特定技能への移行を支援する登録支援機関7選

掲載順は評価順ではありません。各事業者の特徴および提供業務の範囲は、各事業者の公式ウェブサイトに記載された公開情報に基づいています。

ケアコンパス(一般社団法人外国人介護留学生支援機構)

大阪市淀川区西中島に事務所を置き、介護現場に特化した外国人材の受入れと定着支援を展開している登録支援機関です。

介護分野における特定技能への移行支援に注力しており、出入国在留管理局への書類準備や受入れ後の法定支援業務を包括的に受託しています。公式サイトによると、人材紹介手数料は一律40万円、月額の支援委託費用は3万円に設定されており、追加費用のない明確な料金体系が特徴です。

実習中や入職時の日本語力N4水準から、記録作成や申し送りに必要なN3・N2レベルへのステップアップ支援を行っています。住居確保や行政手続きの同行など私生活の安定も重視しており、関西圏の介護施設で特定技能外国人への長期的なキャリア移行を目指す法人に適しています。

ケアコンパス(一般社団法人外国人介護留学生支援機構)
住所:〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目13−22 大拓ビル 17 5F
電話:0649658518
公式サイト:https://carecompass.or.jp/

大阪人材開発事業協同組合

大阪市西区靱本町に拠点を構える事業協同組合で、優良監理団体の認定を受けるとともに、特定技能の登録支援機関としても活動しています。

公式サイト上で「技能実習から特定技能へスムーズに移行したい企業へのサポート」を掲げており、在留資格変更申請から分野別協議会への加入、受入れ計画の策定まで一貫して支援しています。厚生労働省の認可を受けた無料職業紹介事業を運営しているため、組合員企業に対する特定技能人材の紹介手数料が不要な点も特徴です。

自組合で運営する「朝潮橋講習センター」を保有し、移行時の生活ルール再確認や実践的研修を実施しています。技能実習の監理から特定技能の支援委託までを同一の窓口でスムーズに継続したい関西の受入れ企業に向いています。

協同組合一心

大阪府泉南郡岬町に本部を置き、関西圏を中心に技能実習生の監理事業と特定技能の登録支援事業を行っている協同組合です。

技能実習2号または3号を修了した実習生の特定技能1号への切り替えに対応しており、配属後の生活フォローや定期面談を母国語スタッフが担当します。製造分野や介護分野で長年の実績を有し、技能実習の計画策定指導から特定技能の義務的支援までワンストップで受託します。

独自の日本語学習アプリを提供しているほか、介護分野においては過去5年間で22名の介護福祉士国家試験合格者を輩出した実績を公開しています。実習生としての勤務実績を活かし、さらなる国家資格取得を目指して長く働いてもらいたい企業に適しています。

協同組合関西経営開発センター

大阪市阿倍野区文の里に拠点を置き、1993年の設立以来30年以上にわたり外国人材受入れに携わってきた一般監理事業(優良監理団体)および登録支援機関(19登-001531)です。

特定技能への移行に関して「自社の実習生の切り替え」「他社で満了を迎える実習生の紹介」「母国へ帰国済みの元実習生の再招致」という3つの受入れプランを明確に提示しています。2,000人以上の実習生受け入れ実績があり、法令遵守に基づいた厳格な入管手続きと生活インフラ支援を提供しています。

建設、製造、飲食料品製造などの職種に対応しており、自社講習所での事前教育や多言語相談窓口を整えています。歴史ある監理団体に所属しながら、特定技能へのスムーズな資格変更と安定した雇用管理を両立させたい事業者に適しています。

花みずき協同組合

兵庫県尼崎市東難波町に本部を置き、兵庫県や大阪府をはじめとする関西全域で活動する一般監理団体(優良監理事業適合)兼登録支援機関(19登-002742)です。

2014年の設立以来、製造業、建設業、介護業、外食業などの現場で外国人材の支援を行っており、技能実習から特定技能への移行手続きにも迅速に対応しています。カンボジア語、ベトナム語、ミャンマー語のネイティブスタッフが在籍しており、移行時の事前ガイダンスや雇用契約内容の母国語説明を丁寧に実施します。

「互いを理解しあう」方針のもと、定期的な巡回訪問やメンタル面での相談対応に注力しています。兵庫県や大阪府の現場で、実習生の心理的負担を和らげながら特定技能への切り替えを円滑に進めたい法人に向いています。

協同組合コロジ

兵庫県姫路市大津区に拠点を構え、兵庫県および近畿圏の企業を中心に技能実習監理および特定技能の登録支援を行っている協同組合です。

建設関係、食品製造関係、機械・金属加工、介護など幅広い職種において、技能実習2号移行対象職種から特定技能1号への資格変更手続きを支援しています。特にインドネシアやミャンマー、ベトナムなどの外国人材支援に強みを持っています。

受入れ企業と実習生との信頼関係構築を重視し、入管への届出事務やトラブル予防の指導を実施しています。播磨地域や兵庫県内で、製造・建設現場の実習生を特定技能として継続雇用し、将来の育成就労制度への移行も見据えて体制を整えたい企業に適しています。

株式会社スタッフ満足

大阪市西区西本町にオフィスを置き、介護・医療分野を中心とした外国人材の採用と登録支援を展開している事業者です。

すでに自社で受け入れている技能実習生を特定技能へ切り替える場合、高額な紹介料は不要で、在留資格手続きのサポートと1名あたり月額1.6万円という低コストな支援委託費で契約できます。他社からのマッチング採用時は紹介料30万円で対応しています。

入社後1年以内の離職に対する無償代替人材紹介制度を設けているほか、eラーニング教材や国家試験対策講座を追加費用なしで受講できる環境を整備しています。実習生の特定技能移行に伴う毎月のランニングコストを抑えつつ、充実した学習支援を提供したい法人に適しています。

関西における技能実習から特定技能への移行事情

関西エリアにおける在留資格変更申請は、大阪出入国在留管理局(大阪市住之江区南港北)および神戸支局、京都出張所などが管轄しています。大阪府や兵庫県は製造業や建設業、食品加工業の工場が集積しており、長年技能実習生を受け入れてきた企業が特定技能1号への移行を進める事例が急増しています。

技能実習2号または3号を良好に修了した外国人材は、同一職種・作業の特定技能1号へ移行する場合、技能測定試験および日本語能力試験が免除されます。しかし、実習期間の満了日までに特定技能雇用契約や支援計画書の作成、分野別協議会への加入手続きが間に合わない場合、一時帰国や就労の中断が発生してしまいます。このため、実習満了の3〜4ヶ月前から移行準備を開始することが実務上の鉄則とされています。

移行にかかる費用相場と契約の注意点

自社で雇用している技能実習生を特定技能へ切り替える場合、新たな人材紹介手数料(30万円〜50万円)は原則として発生しません。発生する主な費用は、在留資格変更許可申請の手続き費用(行政書士報酬:7万円〜12万円程度、入管印紙代4,000円)と、特定技能移行後の登録支援機関への月額支援委託費(1名あたり1.5万円〜3万円程度)です。

注意すべき点として、技能実習の監理費と特定技能の支援委託費では業務範囲や請求項目が異なります。登録支援機関の見積もりを確認する際は、月額費用の中に「定期面談の実施」「出入国在留管理局への定期報告書類の作成」「緊急時の駆けつけ対応」が含まれているかを精査し、追加請求の有無を事前に把握しておく必要があります。

移行支援機関を選ぶ3つの判断軸

監理団体業務と登録支援業務の兼営体制

現在の監理団体が登録支援機関としても登録されているかを確認してください。

両方の資格を持つ機関であれば、実習生本人の就労実績や性格、健康状態を把握したまま特定技能へ移行できるため、書類作成や情報引き継ぎの手間を大幅に軽減できます。

自社実習生の切替時における料金設定

自社実習生の移行に対して、成功報酬としての紹介料を請求する機関と、変更申請代行費用と月額支援費のみで対応する機関が存在します。

「自社雇用切り替えプラン」を明確に提示している機関を選ぶことで、初期導入コストを大幅に抑制することが可能です。

試験免除要件と職種適合性の確認能力

技能実習の移行対象職種・作業と、特定技能の業務区分が正確に一致していなければ、技能試験免除の適用を受けられません。

比較表の「移行支援体制」を確認し、実習生の修了証明書や技能検定の合格証を事前に精査して入管手続きを安全に進められる専門機関を選択してください。

よくある質問

Q1. 技能実習2号を修了していれば無試験で移行できますか?

原則として、同一の職種・作業内容であれば技能試験と日本語試験の双方が免除されます。ただし、技能実習と異なる産業分野へ移行する場合は、該当分野の技能測定試験に合格する必要があります(日本語試験は免除)。

Q2. 実習満了日までに申請が間に合わない場合はどうすればよいですか?

申請書類の準備に時間を要する場合、受入れ企業で就労しながら準備を継続できる「特定活動(6ヶ月・就労可)」の在留資格へ一時的に変更する特例措置を活用できます。

Q3. 現在の監理団体とは別の登録支援機関に頼んでも問題ありませんか?

制度上全く問題ありません。現在の監理団体が登録支援機関の認可を持っていない場合や、提示された支援委託費が適正でない場合は、外部の登録支援機関へ支援を委託することが一般的です。

Q4. 技能実習時と比べて給与設定はどう変わりますか?

特定技能外国人の報酬は、「日本人が同等の業務に従事する場合と同等額以上」であることが入管法上の必須要件です。3年間の実務経験を持つ熟練労働者として評価し、適切な賃金体系を設定する必要があります。

Q5. 技能実習から特定技能へ移行すると最長何年働けますか?

特定技能1号の在留期間は通算で最長5年です。技能実習の最長5年と合わせると最大10年間の雇用が可能となります。さらに特定技能2号を取得した場合は在留期間の上限がなくなります。

まとめ

関西エリアで技能実習生を特定技能1号へ移行させて継続雇用することは、現場の業務習熟度を維持し、長期的な戦力化を図る上で極めて有効な戦略です。移行を成功させるためには、実習満了の数ヶ月前から計画的に準備を進め、技能試験免除の要件確認や入管への在留資格変更申請を滞りなく進められる登録支援機関を確保することが欠かせません。

支援先を決定する際は、監理団体との連携体制、自社実習生の切り替え費用、移行後の定期面談や生活サポートの充実度を比較検討してください。まずは各事業者の公式窓口や事前相談を活用し、実習生の在留期限から逆算した具体的な移行スケジュールを策定してください。