家の中をどんなに清潔にしていても、どこからともなく現れる、ゴマみたいな虫。彼らは、一体、どうやって私たちの家に侵入してくるのでしょうか。その侵入経路は、私たちが思っている以上に、多様で、そして意外な場所に潜んでいます。最も一般的な侵入経路は、やはり「窓やドアの隙間」からの直接侵入です。特に、ヒメマルカツオブシムシの成虫は、花の蜜を好むため、屋外を飛んでいることが多く、開け放った窓や、網戸のわずかな隙間から、室内に侵入してきます。そして、暗くて餌が豊富なクローゼットなどを見つけ、そこに産卵するのです。次に、意外な盲点となるのが、「洗濯物」です。屋外に干していた洗濯物や、布団に、知らず知らずのうちに成虫が付着し、それを取り込む際に、一緒に家の中へ招き入れてしまうケースも少なくありません。特に、白いシーツなどは、花と間違えて虫が寄ってきやすいと言われています。洗濯物を取り込む際は、軽くはたいて、虫が付いていないかを確認する習慣をつけると良いでしょう。そして、食品害虫であるシバンムシの、最も恐ろしい侵入経路が、「購入した食品そのもの」です。スーパーで購入した、小麦粉やパスタ、ペットフードの袋に、すでに卵や幼虫が混入している、というケースです。精米工場や、製粉工場、あるいは、商品を保管する倉庫といった、流通過程のいずれかの段階で、虫が侵入し、産卵してしまっているのです。この場合、私たちは、自らの手で、害虫を家の中に運び入れていることになります。この「持ち込み」による発生を防ぐのは非常に困難ですが、対策としては、購入した食品を、長期間、袋のまま放置しないことです。できるだけ早く、密閉容器に移し替え、もし虫が混入していたとしても、その容器の中で被害を食い止め、外部へ拡散させないようにすることが重要です。ゴマみたいな虫との戦いは、家の外、そして、買い物の時点から、すでに始まっているのです。